ジュエリー界からミタ、平成最後のクリスマス

2018年12月のクリスマス。平成最後のクリスマス。どのように過ごされたでしょうか?

これまで技術屋として働いてきた私は、やるなら全く違う仕事がしたいと思い探したのが、まさに180度違うジュエリーブランドでした。これまで考えたこともなかった、ジュエリーを売るというお仕事。そこで過ごしたクリスマスまでの1ヶ月は、プレゼントを探す男性やカップル、ボーナス後の自分へのご褒美としてジュエリーを求める女性たちに愛おしさを感じてしまうような光景が沢山ありました。

そんな訳で、ジュエリー界からミタ、ひと味違うクリスマスをお伝えします。

 

1年で最も売上を作るのが、クリスマス


ジュエリーブランドが最も忙しい時期で、働くものにとっては「地獄」とも言われる12月のクリスマス商戦。この時期ばかりは、普段店頭には立たない営業やデザイナー、事務など内勤の社員も総出で、土日休みもなく店頭に立ち売上をつくります。

各店舗には通常より大きな目標値が課され、その額は小さな店舗でも月に数百万、新宿や銀座の百貨店など高いランクの店舗では1日に1千万を超すほどなのです。想像を超える額に驚き。

そんなにもジュエリーが買われるのかと思われるでしょうが、買われているんですね。

 

 愛すべきプレゼント探しの男性たち


12月の平日にチラホラと現れ始めるのが、アクセサリーのプレゼントを考えている男性たち。アクセサリーにしようとは決めたものの、ネックレスか、ブレスレットか、ピアスかも決められず、どんなものが良いのか分からず頭を抱え、とりあえず商品を見に来るという方が多い。

普段彼女がどんなアクセサリーをしているのかとか、過去にどんなものをプレゼントしたのか、どんな雰囲気なのかと色んな情報をヒアリングしながら商品をお薦めするのだが、一生懸命に彼女のことを想いながら悩み、話をしてくれる男性たち。何度もアクセサリーをプレゼントしたことがあっても、店頭に来て選ぶというのは緊張するのか、大量の汗をかいている様子も涙ぐましい。そんな沢山の男性たちに出会い、世の男性は頑張っているなぁ!と感じました。

一方、そこまで男性が悩んだことを想像する女性は少ないのではないかと思います。私自身、これまで悩んで選んでくれたことに喜んでいたつもりだったが、今回目の当たりにした男性陣の悩みっぷりは想像以上。更にフリマアプリではクリスマス以降大量にアクセサリーが出品されるそうだし、「あげてもすぐ失くす」とボヤいている男性も多かったから、切ない。

貴女がクリスマスにプレゼントをもらったのなら、一生懸命選んでくれたことを喜んであげて欲しいと思います。

 

お母さんの味方、子どもたち


クリスマス本番の連休になると、家族連れが目立つ。お母さんが試着しているのを「可愛い~」と言って見る子どもたち。たまに、「お父さん、買ってあげなよ」という声も聞こえてきます。

店の前を通り過ぎる家族の会話からは「僕はいいからお母さんに買ってあげて」という小さな男の子の声。なんと可愛い子どもたちでしょう…

それと同時に見えてくるお母さんたちの普段からの頑張りと家族愛。素敵ですね。

 

 

ジュエリーを売るという仕事を通して見た、ジュエリー界のちょっとした裏事情と世の中のいろんな愛。いいもの見させて頂きました。

来年は新しい元号ではじめてのクリスマス。どんなクリスマスになるでしょう。楽しみです。

 

 

 

 

 

オーストリア・グロース=ジークハルツで開催された「第23回FAI熱気球世界選手権」

オーストリア北部、チェコとの国境にも比較的近い人口3千人ほどの小さな町「グロース=ジークハルツ」。

ここで、「第23回FAI熱気球世界選手権(23rd FAL World Hot Air Balloon Championship)」が開催された。

 

「熱気球って浮かんでるだけじゃないの?」と思っている方も多いはず。

空に浮かんで空中散歩をする「フリーフライト(自由飛行)」もあるが、フライトによるポイントを競う「競技」もあるのだ。

その競技の中でも熱気球世界選手権は、2年に1度世界のどこかで繰り広げられる「最も熱い戦い」で、各国各地の大会とは訳が違う。各国のトップパイロット約100名が腕を競い合い、世界の頂点を決めるのだから、ゴール付近での大混雑はこの大会でしか見ることができない。迫力が段違いで鳥肌ものだ。

その熱気を映像と写真でお届けしたいと思う。

 

※競技についての説明云々は別記事にて!

 

 

まずはコチラのクールな動画から。

フライトの様子をドローンで撮影したもの。映像中に見える、白い「✖」がターゲットと呼ばれるゴール。これに向かって熱気球が帯をなして飛び、押し合いへし合いしながら寄っていく様子がよく分る。

www.facebook.com

 

午前のフライトにて。澄んだ空気と日の出の中、バーナーの音を響かせながら着々とターゲットに向かってくる気球たち。

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ターゲット付近で繰り広げられる闘いのリアルな映像。0:30頃、バーナーのゴーっという音と気球同士の接近による緊張感が高まる。

youtu.be

 

世界と戦った日本代表選手7名。

(前列左から) 沼田実, 片平史郎 (後列左から) 藤田雄大, 宮田浩樹, 井上剛志, 須江哲洋, 上田諭

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少しは世界選手権の熱気を感じて頂けただろうか。

どのパイロットがどの気球に乗っているかを見ながら観戦するのも楽しみのひとつ。興味を持てたという方は是非コチラでパイロットもチェックしてみては?

http://balloonworlds2018.at/pilots-eng/

 

 

禅の道場「永平寺」で参禅。そこで見たものとは(後編)

sobota.hatenablog.com

 

 

参禅研修3日目 : 厳しい修行僧達の生活の実態を知る


04:00 振鈴(起床)

04:20 坐禅

05:10 朝課

06:30 小食(朝食)

07:30 坐禅(止静→経行→抽解→止静)

09:00 作務(掃除)

10:00 坐禅(止静→経行)

11:30 中食(昼食)

12:30 永平寺ダムへ散策

15:30 茶話会

17:00 薬石(夕食)

18:00 入浴

19:00 坐禅(止静→経行→抽解→止静)

21:00 開枕(就寝)

 

真冬には2メートルも雪が積もる永平寺だが、修行僧は年中裸足で過ごし、基本的にお湯は使わない生活を送っている。冬に比べればまだ暖かい方なのだろうが、この日の朝は身震いする寒かった。僧堂から法堂へ行く間に屋根だけついている廊下があり、ここでお釈迦様に一礼するのだが、寒い中にも身が清められるような清々しさがある。

 

小食でまたも美味しいお粥とごま塩を頂き、坐禅。相変わらず足は痛くなるが、40分を2時間くらいに感じていた感覚が、徐々に短くなってきた。悩みについて考えることを諦め、和尚さんのお話にあったとおり、考えが浮かんできてもつかまずに放すことを意識すると、何も考えず無で居る時間が少しずつ増えたようにも感じる。良い方向に転び始めたようだ。

 

作務では、僧堂・東司・休憩室をグループに分かれて掃除。箒ではわき、床や畳、扉など全て拭き上げるのだ。拭き上げは、中腰になって畳一畳分の幅で後ろ向きに進みながら行い、仏様にお尻を向けないように進路をとる。永平寺に居る僧侶たちは、毎日、こうして建物や庭の手入れを行っていて、古くからの物を綺麗に保っている。

 

午後は永平寺ダムへ散策に出る。通常、修行僧は永平寺の外に出ることは禁じられているが、この日は特別に世話役の雲水さんも一緒に外出。ここまでの二日間はほとんど私語する時間もなかったので、散策しながら雲水さんや参加者との会話を楽しむことができた。

何よりも衝撃なのはやはり、厳しい修行の実態だ。

  • 主に2月に入山が許される。雪の降り積もり中所定の時間に修行僧は山門へ向かうが、極寒の中数時間待たされ、修行僧から「なぜ永平寺で修行をしたいのだ」などという問いに応えてやっと門をくぐることができる。
  • 修行の為に必要な費用は、5,000円。修行中に死亡した際の葬式代のための費用。
  • 入山した修行僧はまず、吉祥閣の地下に通されて2週間ほどかけてみっちりと作法やお経を覚える。その後やっと日の本を歩くことが許される。
  • 2年目までの修行僧は、一般人と目を合わせたり、(公式的なもの以外は)写真に写ってはならない。その為、私たちがすれ違った修行僧は目を伏せて足早に過ぎ去っていったし、同行していた二年目の修行僧は境内にある像を見て「初めて気が付きました」と言っていた。
  • 修行僧の月給は数百円~数千円程度で、日用品はたまに買いに出ることができるのだそう。
  • 食事は精進料理なので、ビタミンが少な目。入山したばかりの修行僧は水分の取りすぎでビタミンが流れ出てしまい、ほとんどが脚気になる。病院でビタミン剤を処方してもらうのだそう。今の時代に脚気なんて、と思うが彼らの生活を見ていれば納得がいく。
  • 数百もあるお経だが、修行僧はこれを暗記しなくてはならない。季節によって変わるが、大体朝4時頃から夜9時頃まで坐禅やお勤めを行っている為、その他の就寝後や早朝に月明かりや東司の電気で勉強する。
  • 修行僧は跡継ぎが多く、盆正月などは実家の手伝いに帰ると聞いたことがあるが、永平寺では下山許可が下りるまでは帰ることは許されていない。過去に厳しい修行から逃げ出した者も居るそうだ。
  • 冬でもお湯は使えず、水で拭き掃除を行う。道元禅師を奉っている建物の前の石畳は毎日朝3時に拭き掃除をするのだが、冬場は拭いたそばから水が凍るパキパキという音がするという

晴天の下、サラリーマンをしていたが、自分を変えたいと思っていたところで剣道の師匠からの勧めで修行僧となった雲水さんの話や、修行あるある話を聴いてまた永平寺へと戻っていった。

 

茶話会では和尚さんからのお訊ねで、一人ずつどのような経緯でこの参禅に参加したのか、参加してみてどうだったかを話した。参加者は北は宮城、南は熊本、年齢も大学生から70代の方まで幅広い層が全国から集まっていた。共通していたのは、休学や転職、人生の節目を迎え、自分の人生に向き合っていたところで坐禅を通して何かを得たくて参加していたことだ。

しかし、和尚さんは「皆さん大体、何かを変えたいとか、悩みを抱えたりして修行に来られますが、結局坐禅をしたところで何が変わるわけでもなく、自分の中に答えがありますよ。周りと向き合う前に、自分と向き合ってみてください。」とのこと。何かを求めて坐禅しに来たのにと思う人も居たかも知れないし、2日目には私も似たようなことを思っていたが、この時は深く納得した。この3泊4日の間に坐禅をしたから問題解決になる訳もなく、私たちのやっている坐禅というのは自分と向き合う為のきっかけや過程、考え方、姿勢であるのだと思う。

 そして最後に、「人生にはいろいろ障害があるが、上手くかわしながら生きていきなさい」という教えとしてひとつ詩を教えて頂いた。

岩もあり 木の根もあれど さらさらと たださらさらと 水の流るる

 

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参禅研修4日目(下山) : 清々しい気持ちで、新たなる日常に向けて下山


04:00 振鈴(起床)

04:20 坐禅

05:00 朝課

06:30 小食(朝食)

07:00 作務(掃除)

08:30 感想提出、荷造り

10:00 解散

 

最終日の朝、最後の坐禅に名残惜しさを感じながら、丁寧に坐る。警策(きょうさく)を受ける最後のチャンスなので途中で合掌して待ち、警策をお願いした。ズシッと重く刺さる感じで、じんとする。40分という時間はあっという間に過ぎてしまい、小食、作務を済ませて解散の支度となった。

 

毎日みっちりと付き合った応量器展鉢は、3日目くらいから頭に入っていて、この日の小食では雲水さんの指示を待たなくても進めることができるようになっていた。なかなかに気持ちが良い。そして、記念として箸・刷(せつ)・浄巾(じょきん)をお土産に頂くことができた。

 

借りていた袴などを返却し、預けていた貴重品類を受け取り、和尚さんや雲水さんからお別れの言葉をいただくと、解散。その後希望者は雲水さんに境内を案内して頂いて下山となった。

 

参禅研修を経て、悩みが解決することはなかった。しかし、これまで見たことのない厳しい修行の世界や、仏教の教え、応量器展鉢をはじめとした作法や合掌の気持ち、坐禅をして得られる平穏などを知り得ることができた。何をとってもそうだと思うが、百聞は一見に如かず。この経験を経てまたひとつ新しい世界を知った。

 

永平寺」で見たものとは… 自分とじっくり向き合う人の姿、その大切さ だと思う。

 

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禅の道場「永平寺」で参禅。そこで見たものとは(前編)

永平寺に修行に行こう。

そう決めたのは2018年2月頃。長いこと抱えている悩みから解放されたくて、日常とは全く異なる環境を求めていた。

work awayや沖縄での住込みバイトも心惹かれたが、前々から気になっていたお寺での修行は有力候補だった。

以前、出張ついでに訪れた永平寺で一般の宿泊客が居たことを思い出し調べてみると、「厳しい」のオンパレード。「日本一厳しい」というワードで、これは行くしかない。と永平寺に行くことを決意した。

結果から言うと、この修行を経てその悩みから解放される、ということはなかった。

しかし、修行を通して新しい知識や新しい感覚に出会えたことは確か。

 

永平寺での参禅研修についてご紹介し、興味を持った方には是非思い切って参加してみて欲しいと思う。

 

 

参加申し込み


永平寺に問い合わせてみると、三泊四日の参禅研修は月に一度程度で開催日は決められているとのこと。4月の日程は10日から13日で、予約は1か月前の日の9時から。

 

3月10日の10時頃に数回申し込みの電話をかけるもなかなか繋がらず、予約殺到かと思ったが12時頃に無事に仮予約が完了。その後、往復はがきを郵送し本予約となる。

担当者から「結跏趺坐もしくは半跏趺坐ができる方に限らせて頂いています」とか「40分程度の座禅を多い時は10回程行います」という確認がいくつかあり、その凛とした声からも参禅研修の厳しさを早くも垣間見ることができた。

費用は3泊4日(8食付き)、袴貸与で20,000円。破格な値段設定だ。

 

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参禅研修1日目(入山): 受付の後、はじめての坐禅


13:00 集合、受付

15:00 応量器の使い方

17:00 薬石(夕食)

18:00 入浴

19:00 坐禅(止静→経行→抽解→止静)

21:00 開枕(就寝)

 

男性8名、女性6名の計14名の参加者が受付を済ませ、研修の場所となる「吉祥閣」の4階へ向かう。貸与された袴に着替え、まずはじめに研修の基礎となる作法を教授頂く。

  • 立っている時は叉手(しゃしゅ)
  • 坐っている時は法界定印(ほっかいじょいん)
  • 東司(トイレ)や洗面所の使用前後、仏様の前を通る際は合掌
  • 単(坐禅をする畳)への乗り方、折り方
  • 坐禅の前後にする対坐問訊(たいざもんじん)、隣位問訊(りんいもんじん)
  • 食事の作法(応量器の使い方)
  • 三黙道場(僧堂、東司、浴室)では私語厳禁

応量器(おうりょうき)とは、 禅宗の修行僧が使用する個人の食器のこと。梵語パートラPatra。音訳は鉢多羅(はったら)。鉢盂(はつう)、鉄鉢(てっぱつ)ともいう。

応量器は主に曹洞宗の呼び方で、臨済宗では持鉢(じはつ)、黄檗宗では自鉢(じはつ)と呼ぶ。

入れ子状に重ねられた5枚(黄檗宗では3枚)の容器からなり、袱紗膝掛浄巾(じょうきん)、水板(すいばん)、鉢単(はったん)、(せつ)などが付属する。

材質は鉄または土が本則とされ木製は禁じられているが、漆をかけたものは鉄製とみなすとして一般には黒塗りの漆器である。朱塗りのものは常用ではなく、主に儀式に用いられる。

応量器を用いた食事は厳格な作法が定められており、禅宗における重要な修行のひとつである。一番大きな器に粥を受け、以下、それぞれ定められた器に汁、香菜(こうさい=漬物)、副菜を受ける。

粥を受ける最も大きな器は、釈迦の頂骨であるとされ、頭鉢(ずはつ)と呼ばれる。頭鉢は特に大切にしなければならず、直接口をつける事、粗略に扱う事は厳禁である。また食事の他に、托鉢の際に布施を受ける器にも用いられる。

 

応量器を広げ、食物を受け、それらを頂き、応量器をしまうまでの作法を「展鉢(てんぱつ)」というが、世話役である雲水さんがひとつひとつの動作を口で説明してくれるので、それに従い進めていく。普段の食事で箸先は常に左を向いているが、応量器展鉢では食事の前後は箸先は右、食事中は自分の方を向いているなど、作法がまるで違っていて慣れない。しかし、無駄のない動きと流れで食事が進む感じは、茶道や弓道の作法と同じ、洗練されたものを感じる。

 

曹洞宗坐禅は、坐蒲(ざふ)に腰を下ろし、壁に向かって坐る「面壁(めんぺき)」という。足は結跏趺坐もしくは半跏趺坐を組み、目は半眼。止静鐘(しじょうじょう)という開始の合図で40分坐り、その後の経行鐘(きんひんしょう)の合図で10分間、経行(きんひん)という歩く坐禅を行う。抽解(ちゅうかい)が鳴ると、坐禅坐禅の間の10分程度の休憩となり、東司の使用も可能。続いて鳴る止静鐘にて坐禅が再開される。

 

止静鐘が鳴り、初めての坐禅が始まる。

開始5分の間は、静寂の中で外に流れる水の音が心地よく、坐禅を通して何を得ようかと意気揚々としていた。しかし、以降は緊張と疲れから眠気が襲ってきて、40分が2時間くらいに感じられる程長い。膝の関節がどうにかなってしまいそうに痛いが、途中で足を組み替えるなんてことはできる訳もなく、とにかくひたすら経行鐘(きんひんしょう)が鳴るまで耐える。2つ隣の単で坐っている雲水さんは微動だにせず、美しい姿勢のままなのが横目に見える。

経行鐘が鳴ると、単から降りて経行を行う。経行は、叉手をして一息半歩、つまり一呼吸で足の甲半分だけ歩を進める。向かい合う単の10名程で円になって行う為、周りの様子も感じながらゆっくりとした呼吸で行う必要がある。しかし、なんと経行のありがたいこと。足を延ばす時間はもっと欲しいくらいだ。

 

初日も無事に終了し、布団を敷いて一間の座敷に女性6名でゆっくりと就寝。電気が消えると同時に眠りに落ちた。

 

 

参禅研修2日目 : 厳しい坐禅修行に逃げ出したくなる


04:00 振鈴(起床)

04:20 坐禅

05:10 朝課

06:30 小食(朝食)

07:30 坐禅(止静→経行→抽解→止静)

09:00 講和、ストレッチ

11:30 中食(昼食)

12:00 作務(掃除)

13:00 講和

14:00 坐禅(止静→経行→抽解→止静)

16:00 薬石(夕食)

17:00 入浴

18:30 坐禅(止静→経行→抽解→止静)

21:00 開枕(就寝)

 

朝4時、雲水さんの鳴らす振鈴の音で目を覚ます。昨晩眠りについてから一度も目が覚めることなく、ぐっすりと眠っていた。各自布団をたたんで押入れにしまい、ばたばたと洗面や着替えを済ませて僧堂(坐禅をする場所)へ向かう。

 

朝いちばんの坐禅は身体の痛さはあるものの、気持ち良い。そして朝課のため、法堂(はっとう)へ向かう。毎朝ここに100名以上の僧侶が集い、お経をあげているのだ。研修の身である私たちは一番に法堂へ入って待っと、続々と修行僧や和尚さんが集まる。畳の目にそって整列され、その歩く姿も立ち姿もしゃんとしているがしなやかで美しい。2月に新しく修行僧が入山したと聞いたが、おそらくそうであろう初々しさが残る修行僧の姿も見えた。

 

朝課で唱えるお経は日々違っていて、前日に知らされたお経に付箋を貼っているので、私たちも合わせて読経する。巨大な木魚のリズムに合わせて100名の僧侶による読経は、法堂内での反響もあって圧巻。とても神聖な空間だ。この日は特別に、参禅研修参加者の氏名も読み上げられ、お焼香もして、お釈迦様へのご挨拶となった。

 

僧堂へ戻り、小食(朝食)をいただく。小食はいつも、お粥、沢庵、ごま塩と決まっている。この、ごま塩が格別に美味しい。ごまの香りが際立っていて、ごま油も入っているのかと雲水さんに尋ねたが、純粋にごまと塩のみで作っているとのこと。毎朝すり鉢ですっているのだそうだ。ひと手間としてすり鉢を使うだけでこんなにも違うのかと驚きだ。自宅でもやってみたいと思う。

 

坐禅を経て、和尚さんから応量器展鉢の際に唱える「展鉢の偈」などお経について解説して頂いた。展鉢の偈は、お釈迦様がカピラ城でのご誕生、マガダ国でお悟り、ハラナという町で初めての説法、クチラという場所で涅槃されるという生涯をお唱えし、このお食事は修行の為に頂くのだという意味をかみしめながら頂戴するものなのだ。

また、和尚さんのご友人の方のお話にはじんとくるものがあった。

友人の和尚さんは当時、毎日托鉢に出ていた。ある大雪の降った日、こんな日に施しをくださる人は居ないだろう、と思いながらも、毎日のことだからと托鉢に出た。すると、吹雪の向こうでピンク色の小さな光のようなものが見えた。近づいてみると、いつも施しをくださるお家の前に小さな女の子が待っていて、施しをくれたのだとか。おそらく、毎日来ていたから今日も来るはずだとその小さな女の子は親に言って待っていてくれたのだろう。そして和尚さんが「ありがとう」と手を合わせると、その指先を「冷たい」と言って手で包んでくれた。和尚さんは、この子がこんな風にしてくれるのに、今日はだれも居ないだろうなどと弱音を吐いていた自分を恥じた。

女の子の優しさと、それを受け取る和尚さんの心温まる話だ。

 

それから動きやすい服装に着替えてストレッチ。坐禅でバキバキになった全身をほぐす。開脚ができた方が坐禅も楽かと思いきや、そうではないらしい。どちらかというと、足の裏同士を合わせて座る合蹠(がっせき)ができる方が坐禅には良いそうだ。実際、世話役の雲水さんも合蹠は完璧だったが、開脚は苦手でヒーヒー言っていた。

 

袴に着替えなおして、中食(昼食)をいただく。昼食はごはん、味噌汁、主菜、漬物。お客様がいらっしゃる時などは市場に行って食材を買い付けることもあるが、修行僧が頂くような普段の料理に使用される野菜は、全国の檀家さんから送られてくるものなのだとか。沢庵も毎年2000本程の大根を樽漬けするという。

食事は僧堂で頂くので、私語厳禁。器を手に持ち、ごはんを口に運んだら、器と箸は降ろして手は法界定印に戻して咀嚼する。皆の咀嚼の音だけが聞こえる中、食べ進める。男女で食べる早さが異なる為に男性陣は女性陣が食べ終わるのをじっと待っていた。すると雲水さんより「男性は女性の方に合わせるように、少しゆっくりと食べるように気を付けてください。逆に女性は無理ない程度に少しだけ、食べる早さを気にしてみてください。皆さんが周りの様子を感じながら、同じ早さで食べ終わるのが理想です。」とのご指摘。こういった部分が、和、なのだなと感じる。

 

この日は最も坐禅が多い日。合計で400分程坐っていたと思う。私は自分が抱えている問題の解決の糸口をつかみたくて、参禅に来た。本来、坐禅をしている時は「無」であることが理想なのだと思うが、坐禅をしながらこの悩みについて考えたかった。しかし、そんな目論見は裏切られ、考えが浮かんでは消え、新たなものが浮かんでは消え…その繰り返しと眠気、身体の痛みで同じことを考え続けることは全くできなかった。正直、なんでこんなことしてるんだろう。身体が痛いばっかりじゃないか。帰りたい。とまで思ってしまった。そこそこの忍耐力があると自負していたのに、こんなにすぐ帰りたいと思ってしまった自分に驚き、大した忍耐力なかったんだな、と見つめなおすことができた。

修行を積んだ和尚さんでも、「無」でいることはほぼないという。大事なのは、浮かんできたその考えをつかまずに放っておくことだそうだ。

また、曹洞宗の開祖である道元禅師は、修行をしていてある瞬間に悟るということはなく、坐している姿がすでに悟りであり、坐禅をすることが修行ではなく行住坐臥(ぎょうじゅうざが)、つまり歩くこと・留まること・坐ること・寝ることすべてが坐禅であると説いている。坐禅=修行と捉えがちだが、一挙手一投足すべてが修行なのだ。

 

坐ってばかりなのに、全身が筋肉痛になっている。最大の山場をなんとか超えて、この先も痛みとの闘いになるのか、慣れてきて終わりが寂しくなるのか、どちらに転ぶのか楽しみである。

 

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二代目キッチンチェスト作り

食器や調理器具の充実により、初代キッチンチェストが手狭に…

ということで、二代目キッチンチェストを作ります。

 

収納力アップの為、奥行きを長く、段も増やして設計図を作成。

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なるべく曲がりのない、木目の綺麗なものを選別し、木材を購入。

お会計 ¥5,985 なり。

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購入した木材を持ち帰り、早速パーツを切り出す。

この作業が最もハードで慎重さが求められるも、この日は35℃を超える真夏日…!

過酷な作業の合間のアイスが体に染みわたる。

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切った断面はトゲトゲなので、せっせとやすり掛け。

切り出しからやすり掛け完了まで約3時間ほどかかった。

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ここからは、パーツを組み合わせていく作業。

支えとなるタテ板を組み、ヨコ板を乗せていく。

パーツ毎に長さや反りが微妙に異なるので、少し気を使いながらネジ打ち。

1段ずつ出来上がる度に形が見えてきて良い感じ!順調!

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平日夜の時間にコツコツと作業を進め、ようやく2列3段を組み終える。

ついに完成!

木材の反りとの闘いもあったものの、結果的に帳尻が合って納得の出来栄え。

食器類を置いてみるとなお良い。収納力は230%くらいにupしたかな?

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初代キッチンチェストには本棚という次の使命を与え、絶賛活躍中。

二代目キッチンチェスト作りはこれにて任務完了。

春分の日に、新しいことを始めよう

2018年3月21日(水) 春分の日

 

春分の日とは、

昼と夜の長さが同じになる日。

天体観測により春分が起こる「春分日」が選定されて休日となります。

 

太陽が、12星座のはじめの正座である牡羊座に入ることから

「宇宙元旦」とも言われているのだそう。

 

エネルギーに満ちた日。

 

新しいことを始めるにも良い日のようなので、

久しぶりの友人に会って、貰った刺激を形にしてみた。

 

ブログ、はじめました!